「CD」は、つくりません

楽曲集リリースがらみでもう一つ。

おそらく中には「CDでのリリースはしないのか?」と思われているかたもいるかもしれません。

変な未練の残らないように(自分自身に向けても)断言しますが、CDをリリースする、ということは、今後ほぼ100%ありません。

なぜかといえば、とにかくもう、自分がCDというものを欲しいと思わなくなってしまったから。
自分が心から欲しいと思えないものを作るのは、やはりモノを作る人間として、できません。

最近、個人的に購入する音楽はみんなDL配信のものばかりです。CDという形でものを所有したところで、どのみち聴く時はPC/iPodみたいな機器でですし、データであるほうがあれこれ自由がきく。どうしてもCDにする必要があったら、CD-Rにでも焼けばいい。それに、今この時期、この世相では、CDという形で何をするかよりも、データ配信という形でどういう面白い事ができるかを考える方が、トピックとしては面白い。

CDという「モノ」を作ること。ジャケットを工夫したり、モノとして美しくデザインすること。それはもちろん意味のないことではないと思います。パッケージも含め、一つの作品として高めようと一所懸命に頑張っているかた、挑戦を続けているかたも知っていますし、それはとてもすばらしいことだと思う。でも、それは「CDという商品」の”商品価値”を高めることではありますが、CDの中に含まれる「音楽そのもの」の価値とは必ずしも関係ない事もある、かもしれない。いや、どうだろう(笑

自分が作りたいのは「音楽」であって、「CDという商品」ではありません。評価をいただくとすれば、「音楽」の価値にたいして適正にいただきたいですし、むしろそれ以外の部分で評価されてしまうと、自身の作った音楽の価値を見誤ってしまいそうです。

それに、やっぱりCDを作るのは時間もかかりますし、それなりのリスクもある。そこに裂くことのできる時間や気持ちの余裕が少しでもあるのなら、一曲でも多くいい音楽を制作できるように取り組む方が、自分の立場では正しい気がする。

また、CDでのリリースを前提にすると、やはりCDを買ってくださるかたに、最初に聴いていただきたいと思うことになるでしょう。そうすると、できた曲をすぐに公開、ということもしづらくなる。そうすると、自分の作っているものが”的外れ”なものであったとしても、軌道修正がすぐにはできなくなったりもします。作ったもの、できあがったものは、できあがったときにすぐに出して、どんな反応があるのか、それを作っているものに即座に反映させていきたい。

加えて、そもそも自身の音楽制作上のコンセプトに、「音から何を想起させるか」ということがあります。ジャケットにしても動画にしても、そういう余計なものはできるだけそぎ落とした状態で聴いていただいて、それでも鮮烈なイメージを伝えることができるか。それが自分にとってはとても大事なテーマなのです。

だから、今、この2011年という時期に、CDという形を作る意義が、自分にとってはあまりないのです。

もちろん、色々考える中で、CDを作って同人イベントなどで販売するような事なども考えなかったわけではありません。それは確かに色々と魅力的だし、意味のあることではあると思います。
が、いかんせん仕事のある身で、しかも忙しい時期が常に読み切れないフリーランスという立場もあって、イベントの開催スケジュールにあわせて何かをしようとすると、どこかで仕事上の相手に迷惑をかけてしまったり、作るものの上で変な妥協をしてしまったりする事も予想できます。それは、本当に不本意だし、聴いてくださる方に対しても失礼だとも思います。

それに、ああいった場で目の前に来て下さるのは、おそらく自分に興味をすでにお持ちのかたがほとんどでしょうから、それはちょっと怖いとも思う。その状況に甘えてしまいそうだから。

それ以上に何より、距離も時間も飛び越えられるインターネットという道具が目の前にあって、いまさら時間や場所に縛られるのは面白くない。ああいったイベントに来られないような人にこそ、届いてほしい曲もありますし。

…だから、CDは作りません。

CDを作らない事を決めていたからこそ、可逆圧縮の音源もダウンロード可能とし、ライセンスを「商用で販売することも自由」という形にさせていただいています。
だからたとえばもし、誰かが、私の音楽をCDという形で欲しいと思ってくださるのでしたら、ご自身でCD-Rに焼くなどして形にしてくださってもいいし、それを知人に渡すとか、そこで手間賃をいただくようなことをしていただいてもいい。
たとえばどなたかがCDなどに収録して、同人イベントなどで販売してくださってもいい。
たとえばどこかの小粋なCDショップのオーナーさんが私の音楽を気に入ってくれたとして、それを自分の店でも売りたいと思ってくださったとするならば、非圧縮の音源をダウンロードしていただいて、CD-R等で焼いて販売してくださったら、それはとても嬉しいことです。
(そもそも0円~でDLできるものを買って下さるかたがいるのかどうか、は謎ではありますが(苦笑)

最終的に、自分の作ったものに対して、妥当なリターンさえ返ってきさえすれば、いや、場合によっては返ってこなかったとしても、なんというか、もう、そういうことでいいんじゃないかな。そう思います。

自分はとにかく音楽を作って、それを世に出す。それに価値があると思った人が、それぞれの思う形で買ったり、薦めたり、販売?したり、利用したりする。
そういう、すごくシンプルなことを、シンプルな形でやっていきたい。

そういう事をする上で、世間一般的にイメージされる「著作権管理」なんていうものは、時々面倒だし、時々は本当に邪魔に思います。
ちょっとした事に利用するのに、わざわざ確認の連絡をいただいたり、長い契約書の文面を読むことになったり。
自分はそんなことをしたいわけではなくて、音楽を作っていたいわけだし。
自分の作品を大事に思って下さるかたなら、そんな自分がどうにも嫌な事なんてしないでしょうし。
そこは、信じていたいし、信じられるような世の中であってほしいし。逆に、嫌な事をするような人とは、メールの一通ですらやりとりしたいとも思いませんし(笑
それにもし、私の作ったものを、誰かが何かに使いたいと思ってくださったとしたならば、その瞬間のそのインスピレーションを、権利者がどうしたとか、確認のやりとりなどで消費してほしくないとも思いますし。
万が一自分の曲を広めたいなどと思って動画サイト等にアップする人などがいてくださったとして、「でもこれって違法なんじゃないか」とかって変に不安な気持ちにさせたりするのは非常に不本意ですし。

もう、本当に自由でいいんじゃないかな。
それが、今この時点での、自分なりの結論です。
おそらく、権利まわりを自由にして、ああやって「価格自由」という形での音源リリース(≒いわゆる「振込先」を用意)することで、レーベルといった組織や著作権管理団体のようなものの力などを借りずとも、音楽を作ることだけに集中しやすい環境を作る事はできるでしょうし。
それで取りこぼす何かがあるとしても、それはそれで別にいいと思いますし。
仕事の合間の限られた時間の中で音楽制作をしていくには、これが今のところの最適解という気がしています。

 

…とか、なんか立派そうな事を書いていますが、まあ実際のところは「今これが一番面白そうだから」というのが、一番正確な「本音」だったりはしますが(笑

 

…なんにしても、まあ要するに、本当に単なるワガママではあります。
そんなワガママ、コダワリを意地でも貫きたいからこそ、こういう場所で、こういうやり方で音楽をやることを選んだりしています。
まあ、そんな音楽バカが世の中に少しくらいいてもいいかな、と。

最後に、あくまで自分が仕事もあって、このようなスタイルで音楽を作っている人間だから、こういうやり方が選べる、ということだけは、誤解しないでください。
音楽に携わる方々の思いや権利のようなものを踏みにじるような事だけは、絶対におやめくださいね。

それでは、よい音楽があなたと共にありますように。

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